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zoom RSS 八月九日を生きる

<<   作成日時 : 2015/08/09 10:05   >>

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八月九日を生きる
              橘 正博
浦上の原子野に、赤黒く曝(さら)されて
音も光も、嘗(かつ)て私を成した形も無く
浦上の原子野に、爛(ただ)れた身体を磔(はりつけ)られ
あるのは煩悶(※1)汚辱、末後の時間
ただ私は、一点の痕跡も無く消滅したい
ただ私は、一刻も早く存在を消し去りたい


 主よ、主よ、なんぞ、我を見捨て給うや
 我、わが魂をみ手に委ねたてまつる
 主よ、彼等を許し給え
 彼等、その成すところを知らざればなり
 主よ、まことの神よ
 汝は我等をあがなわれたり(※2)


轟々と燃え盛る炎、投げ捨てられる遺骸
密かに離れた場所で、私は妹を荼毘に付す
轟々と燃え盛る炎、頬をつたう涙
残された者を私に託し、今朝逝った妹
私は、残された者は、生きなければならない
先へ、先へ繋がる、永劫の宿願の為に


深紅の夕陽射す 南山高校の正門前(※3)
六九年もの間、父が心に閉ざした事
家が在った場所、被爆の時、永井博士の救護(※4)
そして、永く僕が受け止めきれなかった事
「母ちゃんは、骨だけになっとらしたとさ」(※5)
六歳の慟哭は僕を伝い、詩を書く意味を諭す


何度も、何度も転び、自転車を覚える愛児達
この美しさは、確実に「意思」の顕現です
何度も、何度も、災厄を乗り越えながら
哀しみの継承に、僕達は意味を見出します
峠さん、人間は世界中に帰って参りました(※6)
人間は繋がり、八月九日の続きを生きてます

※1 煩悶:もだえ苦しむ事。
※2 この段落は聖書からの引用。
※3 当時、筆者実父の家が在った場所。爆心地より400m以内。
※4 永井隆博士。自らも被爆しながら献身的救護活動をおこなった。「長崎の鐘」など著作も有名。
※5 目上の人に使う長崎の方言。(なっとらした=なっていらしゃった)
※6 峠三吉氏の詩「にんげんをかえせ」へ七〇年後の答えとしての言葉。

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